Book Review!


作者:ダニエル・F. ガロイ


レビュー: 模造世界 (創元SF文庫) (文庫)

 小道具などは古めかしさを感じるが、入れ子状になった話の構成による攪乱や、次々と関係者が消えていく「そして誰もいなくなった」ばりのミステリ仕立ての形式は最後まで楽しめる。 ディックとは同時代でもあり、比較対象にされる作者だそうだ。確かにテーマは似ているので、小説としての料理の仕方に差異が出てしまうかもしれない。しかし、本書のアイデアやストーリー展開が損なわれるわけではない。むしろディックの扱う世界観が、必ずしもユニークではなかった、しかも同時代の雰囲気がこういう物語を産み出した、という事実が新鮮である。


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