Book Review!


作者:A.ブラックウッド


レビュー: ブラックウッド傑作選 (創元推理文庫 527-1) (文庫)

ブラックウッドというと、怪奇小説のアンソロジーで親しんできた
ことなどもあり、怪奇小説作家のひとり、などと認識してしまって
いた。しかし今回まとめて読んでみて、もう少し間口の広い作品を
書く人なのだなと認識を新たにした。要するに、オカルトというか、心霊現象の世界を描く作家。そうい
う世界の存在を真面目に信じていたのだということが前書きなどに
伺える。そして、情感豊かに世界を自然を描く作家でもある。さま
ざまな大自然の風物、それらに接したとき、我々が抱くさまざまな
情感をも描き切っている。感嘆することしきりである。特に印象に残る作品は、「いにしえの魔術」と「邪悪なる祈り」。
これらの作品は、怪奇小説のアンソロジーなどにも収録されている
すでに既読であり、そして深く印象に残っていた作品であっ
た。今回再読して、あらためてその異様な雰囲気、インパクトを味
わうことができた。そうそう、存在自体が奇怪としか云いようがな
い「移植」も見逃せない作品だ。そのスジの愛好家の方はぜひどう
ぞ。


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