Book Review!


作者:ヴィヴィアン・ヴァンデ・ヴェルデ


レビュー: 六つのルンペルシュティルツキン物語 (創元ブックランド) (単行本)

グリム童話にある『ルンペルシュティルツキン物語』の不合理を暴く作者のまえがきから、イキナリ正面衝突的に面白い。そりゃあ童話なんてツッコミどころ満載なものだけど、同じつっこむにしたって、ただ揚げ足をとって喜んでいるのではこどもっぽいばかり。まるきり淡々とそ知らぬ顔をしているくせに、ひょいと皮肉めかす言葉があくまで鋭く面白いというのが、大人の悪口作法というものだ。作者はそれを、実にお上手にやってのける。つづく六つの物語は、どれもこれも違った『ルンペルシュティルツキン物語』でありながら、どれもこれも原話の不合理をうまく解決している。だからって理屈っぽく話が小さくなってしまうわけじゃなく、「そうくるか!」とその機智の豊かさににやりとさせられてしまうばかりなの??!
?。原題"the rumpelstiltskin problem"も、"the rumpelstiltskin story"なんてつけるより、ずっと気が利いていて心憎い。
1話目の原題"A FAIRY TALE IN BAD TASTE"の(おそらく)ダブル・ミーニングも洒落ている。
多分、言葉のセンスもある人なんだろうなー。
といいつつ私は英語は苦手なので、、、この作者の初の翻訳書である本書がどんどん売れて続々と翻訳が出るように、たくさんの人がこの素敵なおとぎ話を読んでくれることを願う!


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