Book Review!


作者:馬場 あき子


レビュー: 現代短歌の鑑賞事典 (単行本)

 現代短歌に親しむ入門事典。148人の1首ずつ鑑賞、歌人論、1人30首の秀歌選も載せている。本書の現代の始まりは戦後20年代で、近藤芳美、宮柊二の戦後短歌から紹介されている。既成の短歌の概念を変えるような作品は、寺山修司塚本邦雄等から始まる。

マッチ擦るつかのま海の霧深し身捨つるほどの祖国はありや(寺山修司

前衛短歌の旗手として多くの若者の共感を得た。

日本脱出したし 皇帝ペンギン皇帝ペンギン飼育係りも(塚本邦雄

たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか(河野裕子)  

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日(俵万智

愛唱性の高い恋愛歌群によって国民的人気歌人となる!
。  

こうした奔放自由なうたいぶりの面白さに対して、文語格を保持した短歌は決してその魅力を失わなかった。

きらきらと冬木伸びゆく夢にして太陽はひとり泪こぼしぬ(水原紫苑


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