Book Review!

作者：川井徳子


レビュー： 不動産は「物語力」で再生する (単行本（ソフトカバー）)

よくある単なるハウツー本でもない、ではただのサクセス・ストーリーなのかと言えばそうでもない。

はじめは表紙の美しい写真に惹かれて手に取ったのだが、出版社は東洋経済なので、
ビジネス・経済本というカテゴリーなのだろう。
しかし読み進めてみると、退屈で難しいことは何もなく、代わりに一人の女性の人生と経営哲学が詰まっていた。
ひとことで言えば波乱万丈という言葉がぴったりの人生だが、トゲトゲしさや脂ぎった主張よりも、
むしろ切なさや愛しさといったものを感じた。
おそらく多くの葛藤を経たその末のことだろう。

自叙伝の要素には女性として共感するところが多くときには涙し、
ビジネスの要素には真っ直ぐで柔軟な経営姿勢が新鮮に映った。
華々し??!
?実績をお持ちのようだが、本の内容からは地道さもにじみ出ている。
人、土地、地域、国、経済、観光、生活、環境…いつもそれぞれで語られるワードだが、
決して切り離されたものではなくすべてはつながっているのだということが、
著者の「物語力」という言葉に表れているように感じた。
まだまだ「物語力」にはポテンシャルがありそうで、著者ももっと何かを持っていそうだ。

何かを飛び越してうまくいくことはない、いつも対話しながら地道に歩き続けることだな、と自省。
経済本というカテゴリーにとらわれず、読んでみることをおすすめする。


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