Book Review!


作者:児島 襄

レビュー:レビュー対象商品: 東京裁判〈下〉 (中公文庫) (文庫)

戦後の出発点である東京裁判、この概要を把握するなら本書か。だが予備知識なしで理解するのは無理だろう。

溥儀『紫禁城の黄昏』はまだ未読だが、10年以上前に読んだパル判事『日本無罪論』に始まり、瀬島龍三の欺瞞を告発した『沈黙のファイル』『拝啓瀬島中佐殿』、秦郁彦田中正明らの昭和史関連、清瀬一郎『秘録東京裁判』や田中隆吉『敗因を衝く』(先日レビューに書いた)を経て、やっと機が熟したように思えたので読んでみた。
瀬島こそ登場しなかったが、本書を読むために遠回りした甲斐は充分にあった。

著者は昭和2年生まれで、3歳下の半藤一利と同じく、学生時代に本裁判を傍聴している。
巻末の参考文献や取材の記録を見ると、たった1年の月刊誌への連載にしてはおそろしい量!
。おそらくは、著者は学生時代からずっとライフワークのようにこつこつと調べ続けてきたのだろう。

巻末の佐伯彰一による解説には、「東京裁判は、日本の戦後史という肉体に深くつきささったトゲである」とあった。
私たちの「戦後」の総括は、まだ終わっていない。


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