Book Review!


作者:ディック・フランシス

レビュー:レビュー対象商品: 利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18)) (文庫)

元花形ジョッキーのシッド・ハレーが主人公の第2作だ。前作の「大穴」では片腕を失ったシッドが調査事務所のパートナーとして第2の人生に踏み出す姿が描かれていたが、本作は時間的にはそれほど間もないところから始まる。

今回は前妻のジェニーが巻き込まれた詐欺事件、同一厩舎の有力馬の不審な敗北などの調査を立て続けに依頼されるところから始まり、サスペンス・スリラー小説としても十分楽しめるが、個人的には事件解決を通じて再び出合ったシッドと前妻のジェニーが共に不幸な結婚生活で負った心の傷を乗り越えて行く姿や、捜査の過程で暴力と脅迫に一旦は屈したシッドが深い喪失感から立ち直っていく姿により感銘を受けた。

自己の苦しみや悩みを妻にさえ打ち明けない自己抑制のきいた主!
人公が、内面では深い喪失感や劣等感を抱いてもがいている心理描写がすばらしい傑作だ。


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