Book Review!


作者:日垣 隆

レビュー: 知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る (新潮文庫) (文庫)

 「買ってはいけない」批判や少年犯罪関連のノンフィクションは興味深く読めたが、日垣氏のこのハウツウ本は、さていかほどの値打ちがあることやら。地に足のついた大人なら大抵「知的生活」の工夫は自分なりに、試行錯誤を繰り返しつつも編み出しているもの。ところがここでは、書棚とか付箋とかカバンとかアイフォンとか手帳とか、つまりおしなべて個人の趣味で完結する部分的なアイテムをめぐる「自分の趣味」について、ひたすら冗長に自慢しているだけ。しかも著者は、速読法をオカルトまがいと難じる一方で、自らはラジオ番組の仕込みのため「3時間で20冊」を読むのだとか。3時間で20冊というのは普通、読書とは言わない(単に「ざっと総覧する」だろう)。このようなライトな書き物で自己PRする余裕が??!
?るのなら、時間をたっぷりかけた重厚・骨太な長編ノンフィクションを書きあげてもらいたいもの。それだけの「情報の目利き」「取材のプロ」を自任している方なのだし。


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