Book Review!


作者:中野 晴行

レビュー: 手塚治虫と路地裏のマンガたち (単行本)

今やマンガ評論の一方の雄となった中野晴行の、処女作。関西出身の彼らしく、戦後マンガ勃興期の大阪を中心としたマンガ界の歴史を、当事者への聞き取りも交えながらまとめている。

手塚治虫の「新宝島」の「原作者」、酒井七馬から話は始まり、手塚と酒井の確執、手塚フォロー達による赤本マンガの勃興と没落、「日の丸文庫」を中心とした貸本マンガ及び劇画の興亡史と続く。人間くささ漂うドキュメントだ。

特に「日の丸文庫」の経営者兄弟(山田秀三、喜一)と顧問格の久呂田まさみの個性は、際立っており、この3人の評伝的な「日の丸文庫」についての本は、この著者によってもっと詳細なものが書かれることをを期待する。


更に詳細を見る