Book Review!


作者:ユベール リーヴズ

レビュー: 世界でいちばん美しい物語―「宇宙・生命・人類」 (単行本)

宇宙の始まりや未来の話、あるいは生物発生の秘密の話を聞けば聞くほど、哲学的なことを考えてしまうのはなぜだろう。確かに「始めに光りありき」という聖書と「ビッグバン」はあまりにも類似している。私達自身はビッグバンの塵から出来ているから、私達自身の中に宇宙の記憶を持っているのかもしれない、というこの本の主張は説得力がある。あるいは宇宙の物理法則が本の少しずれていただけでも今の宇宙は存在していなかったという事実。(たとえば核力がほんの少し強かったなら、水素は生まれないので太陽の輝きも地球の海も在りえなかったらしい)やはり神みたいな何かの意図があったのだ、というほうが今の世界を説明できる。しかもこの本は哲学的大命題である、「人はなぜ死ぬのか」ということを科学的??!
?語で説明している。「死は生の必然である」そうなのだ。(ここで詳しい説明は出来ないが)こう明確に語られると、まずは納得した。しかし私は「人はなぜ生きていくのか」「私はなぜ死ななくてはならないのか」という問いを決して捨てはしないだろう。この本は純粋に科学的な本ではあるが、実はその底に常に哲学的な問いを発している本なのである。その意味では実に文学的な「世界で一番美しい物語」なのかもしれない。刺激的な本であった。今年約100冊読んだ中でベスト3にはいる。


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