Book Review!
作者:レオン ポリアコフ
レビュー: 反ユダヤ主義の歴史〈3〉ヴォルテールからヴァーグナーまで (単行本)
サブタイトルにもありますように、本書は幅広い思想家を扱っています。その全てについてに正しい評価はできないので、多少は知っているヘーゲルに言及している部分について以下に評価します。
著者はヘーゲルの著作や講義録から、反ユダヤ主義的な言及を引用し、ヘーゲルも反ユダヤ主義者であることを示しています。しかしその引用している同じ著作等からは、彼がユダヤ教には一定の評価をし、ユダヤ教を含む宗教差別を批判し(『法の哲学』§209)、反ユダヤ主義を明確に批判している(同§270の自注)箇所を引用することもできます。
またヘーゲルの伝記からは、ベルリンにおいて彼が「ユダヤ人」と家族ぐるみで付き合いがあったことが分かります。
これだけ綿密な著作の中で、こ?!
??らを欠落させるということは、自著にとって都合の悪い部分をわざと取り上げていない可能性があります。つまりヘーゲル以外の「反ユダヤ主義」とされた思想家たちも、片言節句でそのように仕立て上げられていることを念頭に置かないと、間違った認識をする危険があると思います(その点、他のレビューが出てくることを期待したいです。)。
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