Book Review!


作者:関野 吉晴


レビュー: 幸福論 (単行本)

この本の二人の著者は、大学時代に探検部に所属し、世界中の異文化の中へ出かけていって、そこで暮らす人々に受け入れられ溶け込んでしまうという点で共通している。そんな二人が三日間にわたって、人間にとっての幸せについて対談した内容が書かれている。二人が訪れた地球上の各地は、文明からは遠い所謂未開の人々が暮らす土地であり、一人あたりの所得額という基準で見ると世界の最貧状態に分類される、恵まれない人々という見方をされることもあるかもしれない。しかし、このような地域で暮らす人々は、たくさんのものを必要とせず、便利なものの存在を知らずに生活しているので、それ以上のものを望もうともせず、多くを持つ者は持たない者に分けるのが当たり前であり、今そのときの瞬間を楽しく過ごす??!
?とが、生きることそのものの喜びになっているというのだ。
 だからと言って、著者たちは便利な社会に慣れてしまった自分たちは、文明から離れた社会で暮らして骨を埋めたい等とは思わないし、当然ながらそんなことはできないと言っている。そうであれば、文明化しスピード化し、経済第一主義、効率主義の価値観に支配されている現代社会において、人は何に向かって、何を求め、何を楽しみにして生き、そして死に向かっていけば良いのだろう。何によって幸福は得られるのだろうという問いを巡って対談は続く。そして、著者たちが接してきた世界中の異文化社会の在り方の中から、その答えのヒントが見つかっていく。


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