Book Review!


作者:赤瀬川 原平


レビュー: 学術小説 外骨という人がいた! (ちくま文庫) (文庫)

唐突だが、あなたはマッチ箱の絵や正露丸のラベル、クラブ化粧品(けせうひん)の空箱などを手にとりたい衝動を感じるほうだろうか?もしそうなら、あなたは外骨ワールドにどっぷり浸って後悔することはないと断言する(違ってたらごめん)。宮武外骨、というどう見てもけったいな名前は時々見かけていたが、何をしていた人かは知らなかった。この本はその外骨の作った「ハート」「スコブル」「滑稽新聞」などの出版物などからその人を食った風刺、論説(ちなみに外骨はこのせいで入獄4回、罰金発禁29回という言論界の前科モノである)をふんだんに引用した講義形式で筆を進める。それは「引用」というよりは「転載」といっても差し支えないくらいたくさんであるが、それがないと話がわからないという性質??!
?ものである。それもそのはず、著者赤瀬川原平氏が「・・・書きにくいことはわかっていた。それ自体が面白いものって、こちらがそれ以上に書きにくいのである。だからあまりいろいろ書かずに、それ自体をじかに紹介しようと考えた。つまり外骨の残した表現作業そのものを、できるだけ現物紹介しよう・・・」と述べ、さらには「完全復刻版を作ればそれでもういいことにな」る、というくらい、どれもこれも面白いのである。これは確かに完全復刻版が見てみたい。この本の終わりごろに、覆刻濃縮版が出た、ということが書かれているが、これは本当だろうか。もしかしたら、法螺かもしれない。ああ私はもうこの明治人の世界に足をとられている・・・


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