Book Review!


作者:ルキアノス


レビュー: 本当の話―ルキアノス短篇集 (ちくま文庫) (文庫)

 ルキアノスはあらゆる空想物語の父である。 『ユートピア』を書いたトマス・モアは、ルキアノスがやりたくてギリシャ語の勉強した。天才天文学者ヨハネス・ケプラーは、『夢(ソムニウム)』の中で、娯楽としても宇宙論としても、ルキアノスのこの物語を持ち上げてる。ルキアノスがいなければ、その作品が残らなければ、『ガルガンチュワ物語』のラブレーも、そして彼よりセンス・オブ・ワンダーで勝り学識では劣るスウィフト(『ガリヴァ旅行記』『樽物語』)もなく、『月世界旅行記』を書いたベルジュラックもなく、だったらメリエス(映画監督・奇術師)だって特撮映画「月世界旅行」を作れなかったかもしれず、円谷英二もなければスピルバーグもなかったかもしれない。 たとえば『ソフィの世界』を読??!
?くらいなら、ルキアノスの「命の競売」(「哲学諸派の売り立て」)を読んだ方がいい。ゼウスがヘルメスを場立ちにして、ピタゴラスをはじめディオゲネスソクラテスなどの哲学者の魂を次々オークションにかける。高値でつくもの、ただ同然の者、売れ残るもの(笑)もいる。ソクラテス10円安、とか、そういう話。これには、二足三文で売られた「哲学者の魂」が、ルキアノスのところへ復讐に来る続編がある(「漁師」)。


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