Book Review!


作者:春木 良且


レビュー: 人を動かす情報術 (ちくま新書) (新書)

新書にしては少々アカデミックで読むのに少し時間がかかるが、読み応えはかなり十分。
精読の価値があると思う。ハードカバーでも良かったんではないかと・・・まぁ新書ならお得だが。

「情報スタイリング」という概念を提唱している。
これってウォルター・リップマン系か、と一瞬思ったが、とらえ方はもう少し包括的で上位の概念にある感じ。

「情報」という切り口にこだわっているが、情報を集めて分析処理をよりうまくやるといった、
受身型の情報リテラシー向上論ではない。
むしろ逆で、情報というものがもつ本質的特性をうまく使って、
いかに原始意図(著者用語)の伝達を適切に行って他者の意志決定に影響を与えていくのかという
能動的な情報伝達戦略論の序論とで??!
?いえばよいだろうか。

マーケやIR・PRの各施策の本質的なメカニズムみたいなものを解剖し、
「情報」という特性で、あらためてそうしたメカニズムの動作原理を定式化し、
事例ベースでの説明を試みている。
上で序論と記したが、いくつか記されている動作原理は即応用できるが、さらなる詳細を
続編で展開するか、ハードカバーなどの少し大版で図解などを絡めて詳述してもらえると、
実務ベースで腑に落とし込んで役立てやすくなるのでなお良い気がする。

こういう私も情報スタイリングされているのだろうか・・・。


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