Book Review!


作者:ミルチア エリアーデ


レビュー: 世界宗教史〈3〉ゴータマ・ブッダからキリスト教の興隆まで(上) (ちくま学芸文庫) (文庫)

 第三巻では仏教の起源と仏陀の時代、仏陀自身の思想が扱われている。他に「霊的存在に関しては、否定しなかったものの、その重要性には疑問をもっていた」と言わざるを得ない古代中国の儒教道教、漢文で習った孔子老荘の処世訓やローマ人に対して印欧の古層につながる宗教をもっていたケルト人の宗教等が扱われる。

 日本で宗教学を学ぶとしたら、ユダヤキリスト教系の神学部か仏教系の大学に入ることしかあまりいい方法が思い浮かばない。日本の世界的な宗教学者である井筒俊彦山折哲雄も学問のフィールドをいい意味でも悪い意味でもイスラムや仏教という特定の宗教に持っていた。これに対して、エリアーデ晩年の本書が試みた世界の諸宗教の徹底した並列的探究というこの壮大な試み、深く??!
?り下げていって結果として広がるというのではない最初から全体を見るという学問的前提は、宗教学の本来の原則に忠実である。各宗教史、宗教論において、純粋な宗教学でこそ可能となる宗教間・民族間・異文化間での比較(共通性と相違点)に生涯に極められた学識に基づいて触れている部分を読み込まねばならない。


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