Book Review!


作者:原口 統三

レビュー: 定本 二十歳のエチュード (ちくま文庫) (文庫)

若いなぁといってしまえばそれまでです。でも若さゆえの切実さは、人生の密度を思い切り濃くしてしまう。それを痛々しいほどに感じさせられる一冊。藤村操が「万有の真相は唯一言にしてつくす、曰く“不可解”我この恨を懐て煩悶終に死を決す」の言葉と共に死んだいわゆる哲学自殺にも直結する切実さ。潔癖さ。表現を拒絶しつつも「弱気」から表現せざるをえなかった彼のノートの壮絶さは一読の価値があります。彼の享年、19歳に達する前にこの本に出合えてよかった。


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