Book Review!


作者:保阪 正康

レビュー: 孫文辛亥革命を助けた日本人 (ちくま文庫) (文庫)

現代日本人にはすっかり馴染みがなくなってしまった孫文だが、孫文と明治期の日本人との関係をわかりやすく詳細に書いている。
基本的には山田純三郎が中心になっているので、そのせいなのか、もしくは何か意図的なものがあるのか、その他の日本人に関しては、人によってあまりにも簡単にしか触れられていない人物も多い。また、戦後共産党中国に残って、福祉の充実に貢献した宋慶齢は、ほとんどと言っていいくらい日本との関係に触れられていない。まあ、よく知りたければイスラエル・エプシュタインの「宋慶齢」を読めばいいのだが、しだいに日本政府に裏切られていく過程を述べるのであれば、慶齢と梅屋庄吉は欠かすことの出来ない大変重要な人物であったはずだ。山田純三郎が共産主義を強く否定する箇??!
?を強調している部分など、台湾の取材協力者に配慮した政治的な面も出版に大きく影響しているのかもしれない。
宮崎弥蔵の死亡年、黄興と宮崎'天との出会いの時期、年表中の孫文宋慶齢との結婚の年など、細かな部分では間違いがあったり、場所によって多少小説っぽい表現もあるものの、辛亥革命孫文、日本人との関係を知るには、この時代の歴史を知らない方々には最初に読むべき良い書籍であると思う。
願わくばどこかの出版社から、時系列的に孫文の活動と日本人との詳しいドキュメントを出していただきたいものだ。


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