Book Review!


作者:斎藤 貴男

レビュー: 国家に隷従せず (文庫)

 治安、効率性、健康など抗い難い価値の名のもとに、個人の自由、尊厳、プライヴァシーが危機に瀕し、「ゆとり教育」と世襲の跋扈による階層分化に象徴されるように、かつてのファシズムを髣髴させる優生思想が蔓延っている今日の日本の現状を抉り、激しく糾弾する警世の書である。
 一読すると絶望的な気分に襲われるが、批判的な視点を磨き、各々がそれぞれの立場から声を上げていくことの重要性を教えてくれる。
 個人的には、鳥インフルエンザBSEをめぐる騒動の分析によって、いかに情報の上っ面しか見ていなかったか、いかに人命が軽々しく扱われている状況に対して無関心であったか、大いに反省させられた。


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