Book Review!


作者:アーサー・コナン・ドイル


レビュー: 緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫) (文庫)

創元推理文庫シャーロック・ホームズ全集の1冊。シャーロック・ホームズとその相棒のワトソンの出会いを描いたシリーズ第1作、しかも深町真理子氏による新訳版とのこと。

もちろん、シャーロック・ホームズのシリーズを読んだことがないわけはないが、実際に読むのはおそらく小学生以来。ホームズの推理のすごさには、子ども心にも驚きを感じ、シリーズの全部の作品を胸をワクワクさせて読んだものだが、話はすっかり忘れていた。

この『緋色の研究』もそうだ。この有名な題名は覚えていたが、あらすじはすっかり忘れてしまっていた。しかし、改めて読んでみると、いや、大人版のホームズをはじめて読んでみると、この物語に古今東西、老若男女が惹かれていった理由がよくわかる。

子ど!
ものころは、シャーロック・ホームズの見事な推理力に感心しているだけだったが、この物語はそれにとどまらない奥深さを感じる。19世紀末のロンドンの社会情勢、雰囲気がよく出ていて、その歴史的、文化的側面が興味深い。
なぜに、世紀末のイギリスで、退廃的なホームズのような探偵物語がもてはやされたのか、巻末の戸川安宣氏の解題や高山宏氏の解説を読むとよりいっそうこの物語に惹かれていく。

この物語も、ワトソンがアフガニスタンでの戦争から帰ってきたり、アメリカのモルモン教の話が出てきたりと、その時代背景を探るだけでも楽しい。

この創元推理文庫の全集では、すでに他の本も出ているようだ。他の本も読んでみよう。


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