Book Review!


作者:多島 斗志之


レビュー: 白楼夢―海峡植民地にて (創元推理文庫) (文庫)

戦前大正時代の英国アジア海峡植民地(シンガポールマレー半島)を舞台にしたサス
ペンスだ。世界設定で佐々木譲の『昭南島に蘭ありや』を思い出してしまうが、何故か
ストーリーや登場人物の設定まで似ている。
ただ、こちらは多島斗志之らしいあっさりした仕上がりになっている。どちらが好きか
は好みが分かれるところだと思う。

戦前のシンガポールとか上海には憧れる。東洋と西洋のカオス。ノーブルな支配者達と
猥雑と喧騒のあふれた庶民の街。ヒロインと主人公のかかわりの過程でそういった雰囲
気を描いて欲しかった。とても魅力的なヒロインを登場させておきながら、もったいな
いと思ったがそれが多島の持ち味かもしれない。


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