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レビュー:レビュー対象商品: 日本怪談集〈上〉 (河出文庫) (文庫)

種村氏は、博覧にして多識の人である。その業績は紀行文から澁澤氏の系譜につらなる、ぺダンチックなものまで実に多様だ。が、アンソロジストとしてはどうであろうか。本書に限っていえば、時代の推移があるとはいえ、「怪談」よりも「幻想譚」の方が勝っているように思われる。さらにいわゆる「定番」も多いようだ。もちろん、編者の個性あってのアンソロジーである。いちがいにそれが悪いとは断じきれないであろう。しかしながら、「怪談」イコール「恐怖譚」。あるいは見も知らぬ傑作を期待して本書を手にとる人は、違和感を禁じ得ないのではあるまいか。これは、昨今の「文豪怪談集」などにも言えると思うのだが、やはり「怪談」と銘打つからには「夢想譚」や「幻影譚」は別の機会に譲るべきではあるまい??!
?。とはいえ、冒頭の日影氏の「ひこばえ」など、秀作がセレクトされているのも、事実ではある。小生――さたなきあもアンソロジーを編んだことがあるが、一般に考えるよりもその作業は困難と読者ならびに収録作家に対する責任とを伴う。ならば! 海軍五省ではないが、どのような大物アンソロジストであれ、努力に憾みなかりしか…………?


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