2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:ロバート・E. ハワードレビュー: 黒の碑(いしぶみ)―クトゥルー神話譚 (創元推理文庫) (文庫) 肉体派怪奇小説の騎手ハワードの、コナンシリーズを除いて現在手に入るものとしては唯一纏まった作品集。先行する他の作家達が敢えて描かなかった残虐な情…

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作者:加藤 実秋レビュー: インディゴの夜 (創元推理文庫) (文庫) 「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれる店があるといいのに。」フリーライター高原晶の言葉に、大手出版社の編集者、塩原が動いた。そうして出来上がったの…

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作者:エドガー・アラン・ポオレビュー: ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3) (文庫) ■収録作品モルグ街の殺人メエルシュトレエムに劑まれて妖精の島悪魔に首を賭けるな週に三度日曜日楕円形の肖像赤死病の仮面庭園マー・ロジェの謎エレオノーラ告げ口心臓…

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作者:パトリシア・A. マキリップレビュー: 茨文字の魔法 (創元推理文庫) (文庫) 孤児で王立図書館の書記ネペンテスと魔術学校の生徒のボーンの関係、、父王の事故死で突然女王になってしまった、まったく女王には向いてないような14歳の少女テッサラ、三千…

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作者:S.J. ローザンレビュー: 新生の街 (創元推理文庫) (文庫) 中国系の女性リディア・チンと白人男性ビル・スミスのシリーズ3作目。ファッションデザイナーの盗難事件を引き受けたものの、それをネタに強請られ、お金を巻き上げられてしまうリィデア。口…

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作者:エラリー・クイーンレビュー: 中途の家 (創元推理文庫 104-17) (文庫) 1977年秋来日したフレデリック・ダネイは(共作者のマンフレッド・リーは1971年に没している)、インタビューに答えて作者自身のベスト・スリーに以下をあげている。1.『チャイナ・オ…

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作者:大崎 梢レビュー: 配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫) (文庫) しっかりものの書店員・杏子さんとお仕事はまだまだだけど推理はおまかせなアルバイト・多絵ちゃんのコンビが活躍する書店ミステリ、シリーズ第一作。お話は、日常の謎的…

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作者:似鳥 鶏レビュー: 理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫) (文庫) 鮎川哲也賞佳作入選の新人作家の長編ミステリーですが文庫で手頃なので買いました。市立高校の文化系部活が活動する芸術棟が舞台ですがそこに何回か幽霊が出没するといううわさが立…

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作者:ラファエル・サバチニレビュー: スカラムーシュ (創元推理文庫 513-1) (文庫) Rafael Sabatiniの『Scaramouche』(1921年)の翻訳。 著者はイタリア人の父とイギリス人の母を持ち、英語で作品を発表した冒険小説家。 本書はフランス革命前期を背景と…

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作者:ジル チャーチルレビュー: 愛は売るもの (創元推理文庫) (文庫) 1932年アメリカ。大恐慌の影響で没落した兄妹がお金持ちの親戚の遺言で、遺産をもらうため田舎で生活しつつ館を下宿やホテルとして貸し出す。そこで起きた事件の解決と兄妹の成長のお話…

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作者:伊坂 幸太郎レビュー: アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) (文庫) 昔と今が錯綜している構成が活きてる。言葉がリンクしてハッとさせられたりちょっとしたエピソードで人物をより際立たせたり。この方はキャラ作りが上手いのかな。濃く思い浮…

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作者:紀田 順一郎レビュー: 古書収集十番勝負 (創元推理文庫) (文庫) 病で余命いくばくもない神保町の老舗古本屋の主が、後継者決定のために仰天計画を発表。同居している長女の夫と、次女の夫で古書店主としての才能を自負する、いずれも店員である2人に…

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作者:松尾 由美レビュー: ブラック・エンジェル (創元推理文庫) (文庫) のっけから黒い天使が衆人環視の密室内で包丁を使って女性を刺殺する、というのだからふつうの探偵小説でないのは明白でしょう。では天使の存在だけを架空としたSFミステリなのかとい…

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作者:多岐川 恭レビュー: 変人島風物誌 (創元推理文庫) (文庫) 多岐川恭の作家デビューはミステリ、『濡れた心』では江戸川乱歩賞を受賞しているということは知っていましたが、そのミステリ作品は品切れ絶版のものが多くて読みたくてもなかなか読めないま…

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作者:伯方 雪日レビュー: 誰もわたしを倒せない (ミステリ・フロンティア) (単行本) 格闘世界の奥深さを感じた一品。ミステリーにこれほどマッチするとは驚き。新人さんなのに文章も読みやすく、しっかりしたものでグイグイと入りこんでゆく。何よりも格闘…

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作者:ピーター・プレストンレビュー: 51番目の州 (創元推理文庫) (文庫) シニカルなブラックコメディ風かと思いきや(本人はそのつもりかもしれないけど)、文章も展開も面白くないんだよなぁ。大事件が起きている割にはドラマチックさが皆無で、場面展開…

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作者:谷原 秋桜子レビュー: 手焼き煎餅の密室 (創元推理文庫) (文庫) 現在(2010年7月)、「美波の事件簿」シリーズは本著を除き3作が出版されているこの3作は、スペインで行方不明になった父親を探しにいく為の費用をアルバイトで稼ぐ高校生の美波…

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作者:高城 高レビュー: 高城高全集〈2〉凍った太陽 (創元推理文庫) (文庫) おそらくはジャンル小説の枠組みを借りて、自己のリビドーを解放しただけの大藪春彦や、懸命にチャンドラーやロス・マクドナルドの文法を日本に移植しようと苦闘した河野典生と全…

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作者:黒川 博行レビュー: キャッツアイころがった (創元推理文庫) (文庫) インドにスケッチ旅行に出かけた美大生が、戻るなり謎の死を遂げる。その数日前に被害者に会った後輩たちは警察に目を付けられることに・・・。何やら別の目的もありそうな女子大生…

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作者:佐々木 丸美レビュー: 水に描かれた館 (単行本) 「崖の館」に続くシリーズ二作目。舞台も同じ、登場人物もそのまま(もちろん新登場人物もいるけども)なのだが、雰囲気が前作とはガラリと違っている。白い靄のような人影(幽霊?)が徘徊し、登場人…

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作者:柳 広司レビュー: はじまりの島 (単行本) 『種の起源』を著して大論争を巻き起こしたチャールズ・ダーウィン。その彼は、若き日に「ビーグル号」で航海中、ガラバゴスで起きた殺人事件を解決していた・・・まずダーウィンが探偵!?という興味で読み始…

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作者:大阪 圭吉レビュー: 銀座幽霊 (創元推理文庫) (文庫) 大阪圭吉は戦前を代表するトリックメーカーで短編作家です長篇は戦時に書き上げ、召集される直前に甲賀三郎に渡したとされる作品がありましたが失われたままです。この作品集は精神病院を舞台にわ…

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作者:サラ・ウォーターズレビュー: エアーズ家の没落上 (創元推理文庫) (文庫) 最初に明言しますがこの物語の真の主人公は人間ではなく「館」です。「レベッカ」「ねじの回転」さらには「ずっとお城で暮らしてる」など館を舞台にしたゴシックホラーは枚挙…

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作者:有栖川 有栖レビュー: 双頭の悪魔 (創元推理文庫) (文庫) 江神シリーズ第三作。有栖川氏の文章は読みやすい。分厚いにもかかわらず一気に読みとおすことも可能である。内容は、分量、トリックの点からして圧倒的。すべての事象がただ一通りの真実を明…

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作者:高城 高レビュー: 風の岬―高城高全集〈4〉 (創元推理文庫) (文庫) 作品集の第4弾。どれも逸品ばかりの短編集だ。著者の筆は暴力などを扱うときも、いまの多くの作家のような過剰な表現はせず、実に淡々と描写する。次作が待ち遠しい。 更に詳細を見る

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作者:ドン ウィンズロウレビュー: 砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫) (文庫) 本書は、ニール・ケアリーシリーズの最終作。これより前の4作より少し短く、また語り口もちょっと違う感じでした。例えば、ニールが「ぼく」の1人称で語っていたり…

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作者:樋口 有介レビュー: 風少女 (創元推理文庫) (文庫) 最近、再評価の機運が高まっている樋口有介のデビュー2作目。最近次々文庫で再発された柚木草平シリーズのファンならば、彼のおなじみの世界がこの作品にも瑞々しくあらわれているのに気づくと思い…

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作者:多島 斗志之レビュー: 白楼夢―海峡植民地にて (創元推理文庫) (文庫) 戦前大正時代の英国アジア海峡植民地(シンガポール・マレー半島)を舞台にしたサスペンスだ。世界設定で佐々木譲の『昭南島に蘭ありや』を思い出してしまうが、何故かストーリー…

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作者:泡坂 妻夫レビュー: 亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫) (文庫) 気弱なカメラマンだが事件が起こればたちまちにして解決してしまう、謎の青年・亜愛一郎(ア・アイイチロウ)。虫だの珍しい雲だのばかり撮っている地味地味カメラマンだが、カメラマンのく…

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作者:スーザン・カンデルレビュー: 少女探偵の肖像 (創元推理文庫) (文庫) ミステリ作家の伝記ライター・シシーはロサンゼルス在住の40歳手前の女性。ただいま執筆中なのは、アメリカでは少女探偵の代名詞であるナンシー・ドルーを生みだしたキャロリン…