2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

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作者:ルース・レンデルレビュー: 死を望まれた男 (創元推理文庫) (文庫) 正直、まさかこんなにもレンデルが楽しい小説を書ける作家だとは思いませんでした。情景描写は女流作家らしく繊細で、その筆で描かれる人物も非凡でかつ現実性があります。そして、…

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作者:門井 慶喜レビュー: この世にひとつの本 (単行本) 作品の出来の格差が激しいと思いました。過去の短編集に秀逸なものが多いだけに、間延びしているというか、しっくりいかないところがあります。文章に無駄が多いように見えてしまうのです。この程度…

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作者:鮎川 哲也レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫) (文庫) 言わずと知れた、鬼貫警部のアリバイくずしの大傑作。なんですが、はじめて読んだとき(角川文庫版)は、ゴチャゴチャしていてわかりづらく、おもしろいとは思えませんでした。今回、創元推理…

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作者:S・J・ボルトンレビュー: 三つの秘文字 上 (創元推理文庫) (文庫) 結構な陰謀悪事を営々と遂行するある種秘密結社に立ち向かう<女性たち>の奮闘物語。序盤はシェトランド地方いにしえの伝承に絡んだミステリーにガンガン引っ張られ、後半からは荒海への決死行…

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作者:小林泰三レビュー: あなたが名探偵 (創元クライム・クラブ) (単行本) かなり豪華な顔ぶれですが、これはという作品はありませんでした。トリックがしょぼかったり、驚けなかったり。あえてお勧めを挙げれば、法月綸太郎「ゼウスの息子たち」。解答編…

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作者:キャロル オコンネルレビュー: 氷の天使 (創元推理文庫) (文庫) マロリーシリーズ1作目です。主人公は女性巡査部長マロリー。張り込みが不可能な程の美貌と天才的な頭脳の持ち主、でも幼少期の環境ゆえに善悪の境界線が世間一般から大きく外れ、内心…

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作者:ウィリアム モールレビュー: ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫) (文庫) 普段はそれほど酔ったりしない堅物の銀行家が、いつもと違って飲みすぎているのをクラブで見かけたワイン商のキャソン・デューカー。気になって声をかけてみると、渋々ながら…

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作者:鮎川 哲也レビュー: 風の証言 (創元推理文庫) (文庫) 昭和46年に書かれた中篇「城と塔」を改作して長篇化したもの。 「城と塔」が4月の『小説サンデー毎日』に掲載、単行本『風の証言』が毎日新聞社から出たのは12月というから、ちょっとビックリで…

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作者:高田 恵子レビュー: ホリデー殺人事件―ジェシカおばさんの事件簿 (創元推理文庫) (文庫) 「あたしはジェシカ・フレッチャー、ミステリー作家です…」のナレーションで始まるアメリカのTVシリーズ、「ジェシカおばさんの事件簿(Murder, She Wrote)」…

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作者:鮎川 哲也レビュー: クイーンの色紙 (光文社文庫) (文庫) ヘボ探偵が切羽詰ってバーテンに相談するや、たちまち謎が解ける・・・という「安楽椅子探偵」ものの「三番館」シリーズ。『太鼓叩きはなぜ笑う』『サムソンの犯罪』『ブロンズの死者』『材木…

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作者:エドワード・D. ホックレビュー: サム・ホーソーンの事件簿〈1〉 (創元推理文庫) (文庫) 田舎町で次々と起こる不可解な事件を赴任してきたばかりの若き医師、サム先生が解決していく、というパターンのミステリです。本作の魅力はやはり事件のすべて…

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作者:パーシヴァル ワイルドレビュー: 検死審問―インクエスト (創元推理文庫) (文庫) ■〈あらすじ〉 勧善懲悪のわかりやすい作風で不動のベストセラー作家となったミセス・ベネット。 そんな彼女の70歳の誕生日を祝うパーティが開かれた日に死亡事件が起き…

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作者:日影 丈吉レビュー: 夕潮 (創元推理文庫) (文庫) 表題作の長編『夕潮』と、短編「壁の男」、絶筆「黄*(服+鳥)楼」が収録されている。 『夕潮』は『幻影城』1979年9月号に前半が掲載されたところで雑誌が廃刊となり、原稿も行方不明になっていた…

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作者:横溝 正史レビュー: 日本探偵小説全集 (9) (創元推理文庫 (400‐9)) (文庫) 監修者の北村薫自身がアチコチで言ってるように、この横溝正史集は、物語内の時系列に沿って、作品を並べているので、読んでいて嬉しい。その上、「本陣殺人事件」「獄門島」…

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作者:北村 薫レビュー: 推理短編六佳撰 (創元推理文庫) (文庫) 平成7年度の「第二回創元推理短編賞」の最終選考に残った6篇をまとめて一冊にしたもりの。 遠田緩「萬相談百善和尚」、釣巻礼公「崖の記憶」、永多正夢「試しの遺言」、永井するみ「瑠璃光…

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作者:江戸川 乱歩レビュー: 黒蜥蜴 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (文庫) 少年探偵団シリーズを読んでいた者からすれば、乱歩先生の本には挿し絵があるほうがわくわくします。本書の林唯一さんの挿し絵が実に素晴らしいです。黒蜥蜴が雑誌に掲載さ…

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作者:カトリーヌ・キュッセレビュー: ジェーンに起きたこと (創元推理文庫) (文庫) 人によって違うとは思うけど、ミステリー仕立ての文庫本で何回も再読できる本と出会えるのは、そんなに度々はないと思う。この本、2年前の夏に出てから、季節が変わるご…

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作者:井上 尚登レビュー: ホペイロの憂鬱 JFL篇 (創元推理文庫) (文庫) プロサッカーチームの用具係(ポルトガル語でホペイロ)が探偵役というちょっと変わった設定のミステリ短編集。基本的に解くのはいわゆる日常の謎系。ただし必ずサッカーに絡めた…

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作者:ハドリー・チェイスレビュー: 世界をおれのポケットに (創元推理文庫) (文庫) チェイスという作家、読んでいて心配になってくることがあります。作品そのものによりもたらされる不安感ではないんです。今度はヘタ踏まないで書きおおせたかな・・・と…

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作者:芹澤 恵レビュー: 暗闇の終わり (創元推理文庫) (文庫) 伊坂幸太郎さんの推薦で読んだ「幻の終わり」の前作だったので、買いました。良かったです。 更に詳細を見る

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作者:ドロシー・L・セイヤーズレビュー: 死体をどうぞ (創元推理文庫) (文庫) 二転三転する推理に読み手も戸惑いますが、アリバイ崩しあり、暗号ありと読む愉しみ盛り沢山。「これは怪しい…」と疑いつつ読みながらも結局は予想がはずれてセイヤーズに完敗…

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作者:コリン・ホルト・ソーヤーレビュー: ピーナッツバター殺人事件 (創元推理文庫) (文庫) 1作目から読んでいるファンにはやはり、はずせない一冊。アンジェラとキャレドニアのお転婆おばあちゃまコンビの探偵ぶりは、相変わらずの天真爛漫さ。シュミッ…

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作者:イサボー・S・ウィルスレビュー: 二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事) (単行本) 設定というか世界観というか、それがユニークでおもしろいファンタジー。 十四才フローラの屋敷は一万一千の部屋を持つのだが、それが魔法使…

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作者:サラ・ウォーターズレビュー: 荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫) (文庫) 「半身」で驚いた我々に更なる驚きを与える傑作。二人の女性の運命の変転そして過去までもが何回も変わってしまう衝撃に800ページを超える厚さが決して長すぎるとは思えない…

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作者:マーガレット ミラーレビュー: 狙った獣 (創元推理文庫) (文庫) 作者自身、若い頃精神の病を患ったせいか、異常心理物を得意とする作者の代表作。遺産相続人のヒロインの元に掛かる殺人予告電話。恐怖に怯えるヒロイン。冒頭からH.マクロイを思わせる…

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作者:モーリス・ルブランレビュー: 虎の牙 (創元推理文庫 107-7 アルセーヌ・リュパン・シリーズ) (文庫) 前半部分は、殺人犯人を考えながら、推理小説として、とても楽しめた。また、後半部分は、リュパンらしい派手な立ち居振る舞いが楽しめるが、少し話…

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作者:モーリス・ルブランレビュー: 謎の家 (創元推理文庫 107-9 アルセーヌ・リュパン・シリーズ) (文庫) 高価な宝石、聡明で美しい女性、これらを巡る大陰謀と、アルセーヌ・リュパンにはありがちな内容。またかよ、とあんまり期待をせずに読み始めるのだ…

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作者:宮部 みゆきレビュー: パーフェクト・ブルー (創元推理文庫) (文庫) 衝撃のプロローグから意外なエピローグまで、読者を飽きさせません。これがデビュー作とは、ほんとに驚いたものです。事件の後味は決してよくないものなのに、さわやかさえ感じてし…

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作者:ドン ウィンズロウレビュー: 仏陀の鏡への道 (創元推理文庫) (文庫) ニール・ケアリー・シリーズの最高傑作だとおもいます。前作以上に魅力をました主人公、後半の怒濤の展開、軽快なリズムを刻む文章。翻訳もすばらしく、何度も再読したくなります。…

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作者:フェイ・ケラーマンレビュー: 蛇の歯上 (創元推理文庫) (文庫) リナ&デッカーシリーズの最新作。これで10作目になる。しかし、原著は97年に出版されているので、かなり翻訳が遅い。ファンとしては、早く追いついてほしいところだ。内容は、ある高級…