2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:荻上 チキレビュー: セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書) (単行本) 大学時代は1980年代前半。社会人になった時が1984年で改正風営法直前。いきなりポケベルを持たされ、いつの間にか鳴るだけだったポケベルに文字が出るよう…

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作者:森 政稔レビュー: 変貌する民主主義 (ちくま新書) (新書) デモクラシーに関する論を、鋭い切り口で再構成している本だ。書かれている内容それ自体は、他の本でも読めるようなものだろうが、その再構成の方法が鋭いので、読んでいて新鮮である。適当に…

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作者:フリードリッヒ ニーチェレビュー: 古典ギリシアの精神―ニーチェ全集〈1〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 文章は分かりやすくまず良し。私は文献学には素人だが、ニーチェの論理的な文章展開、運びは素晴らしい。二部の祭祀は古代ギリシャ人を理解するのに…

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作者:山岡 光治レビュー: 地図に訊け! (ちくま新書) (新書) この本は面白かった。地図に興味のある人にはたまらない一冊になるだろう。 1945年生まれの著者は工業高校卒業後、国土地理院の現場で38年間地図を作成し続けた。少年時代から地図が大好きで、そ…

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作者:広井 良典レビュー: 持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書) (新書) 新書と侮るなかれ。半端ではない学術書で、役人から学者に転じた著者の過去10年の仕事の集大成のような本として読みました。OECDデーターから我が国の福祉は…

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作者:エドワード・ギボンレビュー: ローマ帝国衰亡史 全10巻セット (ちくま学芸文庫) (文庫) 10年以上前から少しずつ読み継いで、先日ようやく最終巻を読み終えました(文庫ではなく単行本で読みました)。歴史とは単なる事実の羅列ではなく、生きてきた人…

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作者:モーリス パンゲレビュー: 自死の日本史 (講談社学術文庫) (文庫) 日本文化論の傑作が復刊されたことを慶賀する。今のようなご時世だからこそ、深い洞察と愛に満ちたこのような著作をこそ励ましとも希望ともしたいものだ。翻訳のすばらしさも特筆され…

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作者:若林 幹夫レビュー: 郊外の社会学―現代を生きる形 (ちくま新書) (新書) 著者は、これまで郊外について言われてきた言説を大きく2つにわけます。まずは社会学者達による、伝統やコミュニティの不在の指摘。つぎに建築家達による、オリジナルで優れた…

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作者:永野 良佑レビュー: 20代からのファイナンス入門: お金がお金を生む仕組み (ちくま新書) (新書) 本のタイトルは洗練されていますが、中身は本当に簡単な内容をくりかえしているだけのもの。いったい何回「金利はお金のレンタル料です」という説明を…

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作者:三土 修平レビュー: 頭を冷やすための靖国論 (ちくま新書) (新書) 靖国神社肯定派と否定派の「噛み合ない」主張を丁寧に分析し、靖国神社は外交上の問題ではなく、戦後の位置づけを曖昧にしたまま過ごしてきたことに起因する国内問題であると看破して…

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作者:正岡 容レビュー: 東京恋慕帖 (ちくま学芸文庫) (文庫) 川柳中興の祖と言われる阪井久良伎の作「居酒屋も一刷毛ぬってバアとなり」は、三代目三遊亭金馬の十八番「居酒屋」でお決まりのマクラだ。本書は、こういった大正から昭和初期の久良伎や剣花坊…

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作者:金谷 武洋レビュー: 日本語は亡びない (ちくま新書) (新書) 橋本進吉の流れをくむ学校文法が、日本語の説明体系として破綻していることはもはや明白だ。程度の差こそあれ、ほとんどの言語学や日本語学者が学校文法に批判的だ。著者の金谷武洋も、カナ…

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作者:高橋 敏レビュー: 江戸の教育力 (ちくま新書) (新書) なぜ、明治に入ってから教育内容が実学の色が薄くなっていったのだろうか。江戸時代は決して閉鎖的ではなく、地域の移動もそこそこあったし、それに応じた地理教育、商品取引の知識を教えていた。…

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作者:岩井 克人レビュー: 資本主義を語る (ちくま学芸文庫) (文庫) あとがきにも触れられているが、対談や断片的なエッセイ、論考の類を集めた小論集。岩井克人の「資本」「貨幣」を巡る思考がどちらかと言うと「ナマ」のままで露呈していて、その露呈ぐあ…

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作者:セーレン キルケゴールレビュー: 死にいたる病 (ちくま学芸文庫) (文庫) 分厚い文庫本だけれども半分が訳注ないし解説という、ある意味ブッ飛んだ書物。それだから、キルケゴールの「絶望」や「実存」といった概念がどこまでも軽薄な意味で捉えられる…

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作者:クロード・E. シャノンレビュー: 通信の数学的理論 (ちくま学芸文庫) (文庫) 商品紹介にもある通りで、シャノンが有名な1948年の論文(ベル研究所の雑誌eBll System Technical Journal)を1949年タイトルを変えて(序文の訳者注)出版した本に、ウィ…

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作者:松本 晃明レビュー: うつ自殺を止める <睡眠>からのアプローチ (ちくま新書) (単行本) 「パパ、ちゃんと寝てる?」という問いかけから「うつ」の早期発見・自殺の予防につなげようという試みの記録。正直、「なるほど」とうなった。最近彼は調子が…

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作者:竹内 好レビュー: 日本とアジア (ちくま学芸文庫) (文庫) 1910年生まれの著者が「アジア」という言葉に込めている意味は、半世紀後に生まれた私がこの言葉から思い浮かべるイメージとはかなり異なっている。それは第二次大戦後の日本ではほとんど顧み…

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作者:中谷内 一也レビュー: 安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学 (ちくま新書) (新書) リスコミ(リスクコミュニケーション)担当者や関心のある方に必読の書である。 昨今、あっちでもこっちでも「安全・安心」と対にして使われることが多い。…

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作者:桑田 真澄レビュー: 野球道 (ちくま新書) (新書) 巨人のエースとして活躍し、大リーグ入りも果たした筆者の日本野球改革への情熱が伝わる対談だ。 根性や暴力が幅を利かせるアマチュア野球の指導に疑問を呈し、野球を楽しみ十分な休養を取るバランス…

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作者:五十嵐 仁レビュー: 労働再規制―反転の構図を読みとく (ちくま新書) (新書) 格差社会の広がりや非正規雇用の増大など市場原理優先・新自由主義政策が生み出した矛盾が露呈し社会問題化している中で、「労働再規制−反転の構図を読みとく」とのタイトル…

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作者:トンマーゾ カンパネッラレビュー: ガリレオの弁明 (ちくま学芸文庫) (文庫) 『太陽の都』で知られるルネサンス期のイタリア人が,同時代に地動説を唱え批難にあっていたガリレオ・ガリレイを擁護するためにカンパネッラ自身獄中から記したのが本書で…

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作者:小堀 憲レビュー: 大数学者 (ちくま学芸文庫) (文庫) 数学界に燦然と輝く大数学者の人生とはどんなものであったか??超人中の超人ガウス、解析学の祖コーシー、悲劇の天才アーベルとガロア、そしてワイエルシュトラスとリーマン‥‥彼ら天才の苦悩や境遇…

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作者:C.G. ユングレビュー: 変容の象徴―精神分裂病の前駆症状〈下〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 邦訳の原著はわたしが籍を置く大学の教授が所蔵しているもので、図版300点を含むラシャー版で刊行されたものの文庫版である。わたしのスーパーバイザーであるユ…

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作者:横山 彰人レビュー: 住まいに居場所がありますか?―家族をつくる間取り・壊す間取り (ちくま新書) (新書) 著者はこれまでに「危ない間取り」をはじめ,家族の生活と住宅との関係に関する本を何冊か書いている.この本には「危ない間取り」の話をはじめ…

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作者:山崎 元レビュー: エコノミック恋愛術 (ちくま新書) (新書) 経済学の理論を、恋愛にあてはめて紹介した本。「日経ビジネスアソシエ」に連載されたコラムが元で、1項につき3ページほどの短い読みきりコラム集です。著者自身、まえがきで述べているとお…

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作者:吉岡 友治レビュー: 東大入試に学ぶロジカルライティング (ちくま新書) (単行本) 「東大入試に学ぶ…」というタイトルからは、難解なイメージを受けますが、実際に読んでみると、実践的な内容でとてもわかりやすく書かれています。読んでいくうちに知…

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作者:河合 幹雄レビュー: 日本の殺人 (ちくま新書) (新書) 河合教授は「安全神話崩壊のパラドックス」なる古典的名著でもって、世を覆いつつあった治安悪化不安が取り締まり方針の変更による軽犯罪(自転車窃盗)のカウントが加わったことに過ぎない虚妄で…

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作者:福澤 諭吉レビュー: 現代語訳 福翁自伝 (ちくま新書) (新書) こりゃ面白い、破天荒ぶりが、さすが日本の最高額一万円札にふさわしい学べばそれだけ進歩する、西洋で日に日に新しくなっていく事情についての本を読むことは日本国中の誰にもできないが…

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作者:平井 玄レビュー: 愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史 (ちくま新書 858) (新書) 著者の平井さんより3つ下の私がおぼえている新宿は、工事中でいつもびしょびしょの狭い地下道、開演に遅れて席を探していたりすると蹴飛ばされる日活名画座、紀…