2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:吉本 隆明レビュー: ハイ・イメージ論2 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「母型論」「アフリカ的段階について」に連続してゆく著者の原理論(文芸批評の原則の追求から始まった)ハイ・イメージ論の第二弾。西欧哲学者の「神」概念について論じ、新たな自然…

Book Review!

作者:秦 剛平レビュー: 美術で読み解く 新約聖書の真実 (ちくま学芸文庫) (文庫) 西洋絵画を見て楽しむには聖書に関する知識が必要と思い手にしてみました。聖書の記述と、画家の解釈とその作品を行ったり来たりしながらの話の運びは“絵画を楽しむための”…

Book Review!

作者:キム・ステルレルニーレビュー: ドーキンス VS グールド (ちくま学芸文庫) (文庫) 利己的な遺伝子と断続平衡説。生物進化について激しい論争を繰り広げた両巨頭がドーキンスとグールドである。著者が最後に述べているように、ドーキンスよりの印象を…

Book Review!

作者:渡辺 哲夫レビュー: 死と狂気 (ちくま学芸文庫) (文庫) 一応中古の分類でしたが、美本が手に入りました。どこの本屋でも手に入らなかった一品です。 更に詳細を見る

Book Review!

作者:モーリス メルロ=ポンティレビュー: 知覚の哲学: ラジオ講演1948年 (ちくま学芸文庫) (文庫) 本書は、第二次世界大戦後(1948年)にフランス国民向けに国営放送で全国放送されたラジオ番組「フランス文化の時間」でのメルロ=ポンティの語りをま…

Book Review!

作者:ルネ・デカルトレビュー: 方法序説 (ちくま学芸文庫) (文庫) 『方法序説』は、短いけれど、簡単に読める書物ではない。デカルトの学問観、哲学観、人生観、そして彼の哲学のエッセンスが濃縮して述べられている。正確に理解するためには、例えばジル…

Book Review!

作者:大森 荘蔵レビュー: 音を視る・時を聴く―哲学講義 (LECTURE BOOKS) (単行本) 今読むとかなり面白い。つまり、脳のシステムに関する研究も進んでいなく、「共感覚」という現象もまだ取り沙汰されてなかった時代に出された本だけれども、哲学と音楽とい…

Book Review!

作者:広末 保レビュー: 新編 悪場所の発想 (ちくま学芸文庫) (文庫) 所詮は1960年代の民衆史観とアングラ文化の中から生まれた仇花的仮説であり、「悪場所」と呼ばれたのはもっぱら遊里のことだった。歴史学的には一顧だにされない、文学的想像であり、学…

Book Review!

作者:ロッド エリスレビュー: 第2言語習得のメカニズム (ちくま学芸文庫) (文庫) 徹頭徹尾の「概説書」。様々な考え方を紹介しておきながら、いずれにも深く立ち入らず、場合によって専門用語を羅列するだけでいったいどういうことを言っているのか具体的…

Book Review!

作者:木山 捷平レビュー: 木山捷平 (ちくま日本文学全集) (文庫) 木山捷平が静かなブームであるという。木山は決して大小説家でもないし、人間の内面を鋭く描くといった鬼才でもない。いわば普通であることの価値を小説という形で表現したマイナー・ポエッ…

Book Review!

作者:エルヴィン シュレーディンガーレビュー: わが世界観 (ちくま学芸文庫) (文庫) 自伝はともかく、発想の人として、シュレーディンガーはとても面白いと思います。人類が進化として今獲得しつつあるものが意識として自覚され、既に獲得されたものは無意…

Book Review!

作者:高田 衛レビュー: 完本 八犬伝の世界 (ちくま学芸文庫) (文庫) この本が素晴らしいのは、化政期の江戸読者が、どんな読み方を「八犬伝」に対してしていたのかを、示してくれたところにあります。 筋を追うだけでも、「八犬伝」は楽しめるのですが、馬…

Book Review!

作者:フランソワ ラブレーレビュー: パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫) (文庫) やはりこのラブレー翻訳となると、渡辺一夫と比較されるのは已むをえまい。渡辺の和漢古典の学殖のうえの翻訳は日本翻訳史上たぐいなきも…

Book Review!

作者:吉田 秀和レビュー: 私の好きな曲―吉田秀和コレクション (ちくま文庫) (文庫) ほぼ20年ぶりの再読。新潮文庫版を何度ひもといたことか。改めて読んでみても、初読の感動が甦ってくる。冒頭のベートーヴェンのカルテットとピアノソナタで感極まって…

Book Review!

作者:都築 響一レビュー: 賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈下〉 (ちくま文庫) (文庫) さまざまな社会問題が国内に存在し、これからもそれは変わらないでしょう。ただ、本書に出てくるような人たちを見ていると、日本もそんなに悪くないんじゃないかと思えてき…

Book Review!

作者:柴田 宵曲レビュー: 明治の話題 (ちくま学芸文庫) (文庫) 明治生まれの著者だから文中ところどころに自身の見聞を織り込む。とは言っても基本は書物を渉猟してテーマごとに案配することで、言ってみればデータベースの資料を並べただけの事なのだが、…

Book Review!

作者:石田 英敬レビュー: 現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫) (文庫) 放送大学の講義をまとめたものであるだけに、とても読みやすくまとまっている。現代思想というといろんなものがありすぎて、どう全体像をつかめばいいかわかりにくいが、本書ではテーマ…

Book Review!

作者:枡野 浩一レビュー: 一人で始める短歌入門 (ちくま文庫) (文庫) 枡野さん達は短歌という形式を使って、伝統的な短歌という物をぶっ壊し、ユニークな面白いジャンルを作り出しました。この本は2冊目の枡野式短歌入門書です。面白いですよ。とても。短…

Book Review!

作者:都築 響一レビュー: 賃貸宇宙美麗函入りセット(2冊セット) (単行本) 日本人にはどこか、秘密基地願望というか、籠り願望みたいのが強くあるんじゃないかな・・・と、思う時がある。そして、自分でそういう密やかな空間を作りたいと思う一方で、他人の…

Book Review!

作者:ガストン バシュラールレビュー: 空間の詩学 (ちくま学芸文庫) (文庫) 大学の卒論で何を書こうか悩んで、ふと「お化け屋敷」が頭に浮かんだ。どうして人は皆古い家を見て「お化け屋敷」と思うのか、調べてみたかった。最初の卒論のテーマ発表の時、「…

Book Review!

作者:宮台 真司レビュー: サイファ覚醒せよ!―世界の新解読バイブル (単行本) 『サイファ覚醒せよ!』は、宮台真司氏の著作のなかでは、かなり分かりにくいものだと思います。そのため、もし初めて宮台真司氏の著作を読むのであれば、他の著作から入ること…

Book Review!

作者:藤原 和博レビュー: 世界でいちばん受けたい授業―「よのなか」科実践記録 (ちくま文庫) (文庫) 足立区のとある中学校で社会科公民の授業で行われた「よのなか科」の実践が細かく報告されている。ページ数が多いのは生徒のディベートの発言を多く掲載…

Book Review!

作者:ケネス・クラークレビュー: ザ・ヌード (ちくま学芸文庫) (文庫) とにかく名著である。ヨーロッパにおける裸体彫刻、絵画の歴史が、純粋美による快楽を中心に据えつつも、人間の美学のなかに潜む性的な美意識に関する言及も適度に織り交ぜつつ公平に…

Book Review!

作者:茂木 健一郎レビュー: 茂木健一郎の脳科学講義 (ちくま文庫) (文庫) タイトルからして、脳科学全般の講義だと思い購入しました。しかし、内容は非常に軽い脳にまつわるお話しというような体裁になっており、脳科学全般を学べるようなものではありませ…

Book Review!

作者:オスカー ルイスレビュー: 貧困の文化―メキシコの“五つの家族” (ちくま学芸文庫) (文庫) 題名の「貧困の文化」とは一体何だろう?著者は「貧困の文化」の詳細な概念を提示するのではなく、下級階層に生きる家族のありのままの生活を記述しているだけ…

Book Review!

作者:アレッサンドロ アンジェリーニレビュー: ピエロ・デッラ・フランチェスカ (イタリア・ルネサンスの巨匠たち―独自な芸?! ??の探求者) (大型本) この本を手にしたのは、画家有元利夫氏がこの画家に大きな影響を受けたと聴いたからですが、実際この本を…

Book Review!

作者:渡邊 二郎レビュー: 現代人のための哲学 (ちくま学芸文庫) (文庫) 本書は、かつて、放送大学の印刷教材として出されたものの文庫化です。やさしい語り口ながら、哲学研究者として著名な著者の深い学識の裏づけの上に現代の諸問題について考え抜かれた…

Book Review!

作者:一松 信レビュー: 数のエッセイ (ちくま学芸文庫) (文庫) 1972年に中央公論社の自然選書の一冊として出版された本の再刊です。色んな面白い数式が出てきます。「博士の愛した数式」の話題より、もっと高尚で難解なものが出てきますので、数式アレルギ…

Book Review!

作者:プラトンレビュー: テアイテトス (ちくま学芸文庫) (文庫) この新訳で『テアイテトス』を読み返した。まだ「哲学」という学問が存在せず、哲学的な術語もない状態で、プラトンが「知識の本性」をめぐって格闘する、その原初の「生々しさ」にあらため…

Book Review!

作者:秦 剛平レビュー: 美術で読み解く 旧約聖書の真実 (ちくま学芸文庫) (文庫) 本書を読むと、取り上げられたそれぞれの絵画やレリーフが聖書のどの場面を題材にしているかは分かりますが、聖書を「読み解いて」いるとは言えません。旧約聖書に見られる…