2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:内田 雅敏レビュー: 乗っ取り弁護士 (文庫) 本書は、依頼人の資産を食い潰す弁護士の非行に接した著者が、弁護士にあるまじき行為であると怒り狂い、依頼人の弁護活動に留まることなく、志を同じくする面々と共に戦線を形成して追及していく過程を描…

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作者:山口 文憲レビュー: 日本ばちかん巡り (単行本) 日本の中にたくさんの聖地があり、それぞれ意味があることを初めてした。その上、日本には山岳信仰の聖なる山があり、各種ご利益のある神社があり・・・。宗教に興味がない人にも読みやすく、くどい説…

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作者:石原 千秋レビュー: 未来形の読書術 (ちくまプリマー新書) (新書) 石原先生愛読者には、内容的にはこれまでの復習のような感が強いが、「読者の仕事」を明確に示している点では新鮮に読むことができた。 小説を読むという行為は、読者が物語を主体的…

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作者:高田 里惠子レビュー: 文学部をめぐる病い教養主義・ナチス・旧制高校 (単行本) これを文芸評論といっていいのかどうか良く分からないが、斎藤美奈子の『妊娠小説』以来の面白さであった。あとがきにもあるように著者は決して大正教養主義を、ナチス…

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作者:橘 蓮二レビュー: 写真集 高座のそでから (ちくま文庫) (文庫) デビュー作「おあとがよろしいようで」を、入院中の病室で舐めるように「読んで」から、10年余が経った。以来、橘蓮二の写真を追いかけ、また同じ形でちくま文庫に帰ってきたことには、…

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作者:高島 俊男レビュー: 漱石の夏やすみ (ちくま文庫) (文庫) 漱石が明治22年の夏休みに房総を旅行したのち、正岡子規に見せるために書いた漢文の旅行記「木屑録」。本書は木屑録の高島氏による現代語訳(ややべらんめえ調の「自在訳」)と、木屑録を読む…

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作者:吉屋 信子レビュー: 吉屋信子集 生霊―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫) (文庫) 吉屋信子の名は、少女小説化の元祖ということで知ってはいたが、作品を読んだ事はなかった。この作品集には、不思議な出来事、現象、人間の怪しい心理が描かれた作品が収めら…

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作者:山村 修レビュー: 増補 遅読のすすめ (ちくま文庫) (文庫) どうぞ一人静かに、ゆっくりとこの書を繙いてください。こんなに満ち足りた心の安寧を読書で感じたことはいつ以来でしょうか。筆者が相対した書物も全て素晴らしい。読書とは生きることなん…

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作者:シドニー=ガブリエル コレットレビュー: わたしの修業時代 (ちくま文庫) (文庫) 三度の結婚、同性愛、スキャンダラスな私生活、にもかかわらず晩年にはレジオン・ドヌール二等勲章という、フランスでは女性初の栄誉を得て国葬された作家・コレットが…

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作者:森本 貞子レビュー: 秋霖譜―森有礼とその妻 (単行本) 明治初期、「妻妾論」を発表して日本における女性の地位の低さを訴え、自ら「契約結婚」を実施した初代文部大臣森有礼は、なぜその妻・広瀬常と離婚したのか。このことは長らくまったくの謎とされ…

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作者:リック タナカレビュー: オーストラリア楽農パラダイス (単行本) 「パーマカルチャー」という言葉が独り歩きしている現代、自らパーマカルチャーの実践を通じて、やさしく、そして時には自戒の念もこめて批判、提案している本書は、パーマカルチャー…

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作者:谷 千佳世レビュー: 京都いと、お菓子。 (単行本) なんとこの本、写真は1枚も載ってないんですよ!店構えやお菓子の紹介はすべて絵!これがまた美味しそうなんです…。大学の友達が卒論のテーマは京都の和菓子にしたの!ってこの本を見せてくれたんで…

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作者:中条 省平レビュー: クリント・イーストウッド―アメリカ映画史を再生する男 (ちくま文庫) (文庫) アメリカ映画史の範疇を凌駕して世界映画史の巨人とも言うべき偉大な俳優兼監督クリント・イーストウッドについて、この程度の批評的言説しかものでき…

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作者:桂 米朝レビュー: 一芸一談 (ちくま文庫) (文庫) これはラジオ番組が基となっている。読みすすむと、戦前から戦中、戦後にわたっての芸能史を垣間見る事ができる、貴重な資料本ではないか。どの分野の人とも相対して会話が成り立つ、桂米朝という人の…

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作者:木之下 晃レビュー: 音楽家のオフステージ (単行本) と、いいたくなるような微笑ましい写真がずらり。カバーの「頭に櫛を当てられているメニューイン」など、まだおとなしい部類。両目にヨーヨーを当てるヨーヨー・マ。カフェで両手をカメラに広げて…

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作者:塩山 芳明レビュー: 出版業界最底辺日記―エロ漫画編集者「嫌われ者の記」 (ちくま文庫) (文庫) エロ漫画編集者としては、知る人ぞ知る塩山芳明氏。その氏の1990年〜2005年までの、なんと15年間にわたる毒舌日記が本書。一般的には知られることのない…

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作者:トマス ピンチョンレビュー: スロー・ラーナー (ちくま文庫) (文庫) ピンチョンの他の作品は、様々な理論・知識が豊富かつ確実でないと、充分に楽しめないのではないかと感じますが、この短編集はそんな危惧は一切不要!です。どの作品もファンタジー…

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作者:中条 省平レビュー: 小説家になる!―芥川賞・直木賞だって狙える12講 (ちくま文庫) (文庫) 小説を書くための具体的な技法を教えるというわけではなく、高名な小説を細かく分解し、その表現方法を分析するという手法をとっている。小説の分析の手助けに…

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作者:横山 雅彦レビュー: 大学受験に強くなる教養講座 (ちくまプリマー新書) (新書) 著者は「ロジカル・リーディング」という英文読解法で受験生の間では有名な受験英語の講師だという。このような著者がどんな内容の教養を説くのか興味があり、読んでみた…

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作者:ジェイムズ ジョイスレビュー: ダブリンの人びと (ちくま文庫) (文庫) とても丁寧でわかりやすい訳注と解説が付いていて、ありがたかった。さっと読み飛ばすと非常に地味な作品なので、もし訳注と解説がなかったら、理解が及ばず途中でやめていたかも…

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作者:上野 潔レビュー: 家電製品のリサイクル100の知識 (単行本) 本書は家電製品のリサイクルについての内容で、家電リサイクル法制定の経緯や、リサイクルすると家電製品はどう生まれ変わるのか、リサイクルとこれからの家電製品についてなどを、三菱電機…

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作者:レビュー: 文庫手帳 2012 (ちくま文庫 ん 1-25) (文庫) 2012年度の文庫手帳が届きました。この文庫手帳が出版され手元に届く頃、来年のことを考える季節です。新しい文庫手帳は待ち焦がれる存在です。現在使われているのも、用途に応じて使われて…

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作者:レビュー: 源氏物語〈第5巻〉御法~早蕨 (ちくま文庫) (文庫) 「雲隠」という可笑しな一巻がある。巻名だけがあって、本文がない。前巻と次の巻との間には8年の歳月が経っていて、その間にわれらが源氏の出家と死があった。そう、いきなり、いきなり…

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作者:福田 和也レビュー: 第二次大戦とは何だったのか (ちくま文庫) (文庫) この本は、ティーラーの「第二次世界大戦の起源}などとあわせ読んだり、谷口智彦「通貨燃ゆ}あるいは、カズヲ・イシグロの「日の名残」または、「朗読者」などと読み合わせて、…

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作者:森谷 明子レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) (文庫) 紫式部を探偵役にした日常の謎作品です。中編の分量の作品が二作、後日譚が一作の2.5部構成。ちょっと格調高い感じと伏線の張り方が「ああ、創元ごのみだなあ」と思わせます。当時、…

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作者:高島 俊男レビュー: 水滸伝と日本人 (ちくま文庫) (文庫) 江戸時代から現代に至る、日本における水滸伝の受容(原書の導入、和刻と翻訳の作成、翻案の出現)を説明した本です。過去に日本で出版された水滸伝の書誌情報や訳の質や問題を丁寧に説明して…

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作者:ティム ライリーレビュー: ビートルズ全曲解説 (単行本) 一時は、どこに行くにもこの本をカバンの中に忍び込ませていた。訳者の岡山徹さんの訳が、これまた良い。片岡義男さんが「ビートルズ詩集」で訳した詞よりも、岡山徹さんの訳詞のほうが好みだ…

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作者:レビュー: 文藝怪談実話―文豪怪談傑作選・特別篇 (ちくま文庫) (文庫) 「裸の大将」で有名な画家の山下清の絵で巻頭を飾るこの本は、遠藤周作ら現代の作家から小泉八雲ら明治の作家、尾上梅幸ら芸術家・学者、佐藤春夫ら大正・昭和の作家と多彩な人々…

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作者:岡田 英弘レビュー: 倭国の時代 (朝日文庫) (文庫) 著者は冒頭で古代日本について記された『三国志』や『日本書紀』等の文献を理解するためには、マレーシアの古典文学である『マレー年代記』を参照すべしという。これはマラッカ王国の建国神話だが、…

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作者:吉行 淳之介レビュー: 懐かしい人たち (ちくま文庫) (文庫) 吉行淳之介生前最後の単行本となったこのエッセイ集は、二編を除いて、これまでの幾つかの随筆集から抜き出したもの。それには一つの方針があって、追悼文あるいは亡くなった人たちとの交遊…