2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:J・G・バラードレビュー: 楽園への疾走 (海外文学セレクション) (単行本) J・G・バラードの『楽園への疾走』は猛烈に面白い!!狂った女医が目指していた自然保護地区は、単なる絶滅危惧品種の動物を守るための施設ではなかった!!どんでん返しが…

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作者:小森 健太朗レビュー: 英文学の地下水脈―古典ミステリ研究 黒岩涙香翻案原典からクイーンまで (単行本) いくつかの評論からなる書籍ですが、ミステリー初期、さらに遡ってミステリー登場前夜の現在は忘れられてしまったような作家の広義のミステリー…

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作者:ホールネス研究会レビュー: 不妊治療と向き合う―五組の夫婦が選んだ最新の治療とは?専門医(女性不妊、男性不妊)からの助言 (単行本) 不妊検査に行こうかと悩みながらこの本を手にした。5組の夫婦の不妊治療の経緯が、それぞれの心の内側まで垣間見れ…

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作者:リン・カーターレビュー: ファンタジーの歴史――空想世界 (キイ・ライブラリー) (単行本) リンカーターの異様ともいえる熱気に支えられた本書は、読みやすい訳にも支えられ、最適なファンタジーの概説書といってよい。モリスから語られ、ダンセイニ、…

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作者:フランコ ゼッフィレッリレビュー: ゼッフィレッリ自伝 (創元ライブラリ) (文庫) ゼッフィレッリほどの美貌と才能があれば、成功なんて簡単なんだろうと漠然と思っていたが、本書によるとそうではないのだ。成功するには、美貌と才能だけではだめで、…

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作者:三国 仁司レビュー: 証券化のリスクとファイナンス (単行本) 証券化は借入人にはノンリコースのアセットリスクのファイナンスと理解されるが、日本では実はそれはそうではなく、コーポレートファイナンスの一種に過ぎないことを、業界で長年プロとし…

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作者:高井 忍レビュー: 漂流巌流島 (創元推理文庫) (文庫) これは歴史とミステリが好きな人にお勧め。歴史に詳しくなくてもちゃぁんと背景を説明してもらえますので安心。かなぁり資料が長々載っているので、つい読み飛ばしてしまいましたが、それでも「え…

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作者:バルザックレビュー: バルザック全集 第9巻 (単行本) 余りにも有名な「谷間のゆり」!既に数種類の訳があるが、この全集版は、若干の箇所で問題がないわけではないが、全体として読めば良い訳である。特に、新潮文庫の石井訳との対比で読むと、この訳…

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作者:稲葉 弘樹レビュー: ずっと知りたかった飛行機の事情―お天気とのビミョーな関係 (単行本) 飛行機がなぜお天気に弱いのかをやさしく説明しています。仕事柄飛行機に乗る機会は多いのですが、こんなにも天気に気をつかっているとは思いませんでした。「…

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作者:レビュー: 社会科学系英語問題集―大学院入試問題集 (単行本) 英語問題集となっていますが、実際はほとんどが英語&ドイツ語、フランス語、ロシア語、ペルシャ語、中国語がほんの少し含まれています。解答はないので、第3者の助けがあるひとは問題なく…

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作者:高城 高レビュー: ウラジオストクから来た女 函館水上警察 (単行本) 読んでいるのに、見ている気分になります。描写がとにかく、具体的。明治の函館の景色が浮かんできます。入念な時代考証をもとに書かれているからでしょう。スト−リー展開だけでな…

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作者:岸田 るり子レビュー: ランボー・クラブ (ミステリ・フロンティア) (単行本) 前3長編の、おどろおどろしい心理劇に比べると、正統的なミステリーに近い作品ですが、長い年月に籠もった登場人物たちの複雑な関係、最先端の医学研究が絡んでくること、…

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作者:小椋 三嘉レビュー: チョコレートものがたり―フランス流チョコレートの楽しみ方 (単行本) 作者がフランスで過ごしたときに感じたフランス人のチョコレート好きの話は非常に興味深く楽しいし、日本においてでも、自分のためにボンボンショコラを買いに…

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作者:野崎 六助レビュー: ミステリを書く!10のステップ (単行本) 実践的な話で面白く読める。ただ、これだけでミステリが書けるとは誰も思わないだろう。創作を試みたことのある人にはヒントは多いだろうが、むしろ私は作家の創作舞台裏として楽しんで読ん…

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作者:バリ・ライレビュー: インド式マリッジブルー (海外文学セレクション) (単行本) マリッジブルーに陥っているのは、16歳の少年。彼は13歳のとき、父親から17歳になったら結婚させると宣言されました。それがパンジャブ人だから。少年・マニーの…

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作者:獅子宮 敏彦レビュー: 砂楼に登りし者たち (ミステリ・フロンティア) (単行本) 時は戦国の世だ。山本勘介が武田家に仕える前に、諏訪の地にいた。そこの諏訪王姫は大きな力を持っていたが、一つの伝説があった。「諏訪王姫は誇り高き姫にて、自らの老…

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作者:ロザムンド ピルチャーレビュー: 空っぽの家 (単行本) 出だしからこの作品に引き込まれていきます。ヴァージニアが心の傷を癒すために訪れたコンウォールの風景描写が実にすばらしく、読まずにはいられなくなります。そして初恋の人と10年ぶりの再…

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作者:服部 正レビュー: 影よ踊れ―シャーロック・ホームズの異形 (創元クライム・クラブ) (単行本) ホームズのパスティーシュの中でも、その名のごとく異形というか、ホームズの名のつく作品の中での怖さ哀しさ加減では、岩崎正吾『探偵の冬 あるいはシャー…

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作者:剣持 鷹士レビュー: あきらめのよい相談者―剣持弁護士の多忙な日常 (創元クライム・クラブ) (単行本) 本書は、’94年「第1回創元推理短編賞(現・「『ミステリーズ!』新人賞」)を受賞した『あきらめのよい相談者』をはじめ、4編の短編からなる作…

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作者:道尾 秀介レビュー: シャドウ (創元推理文庫) (文庫) 文体は読みやすいの嫌いではないけど、心理サスペンス風のストーリーは突出した部分がない。あまりに平坦なストーリーなので、最後に大どんでん返しがあるのかと期待して読み進めましたが・・・読…

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作者:東 理夫レビュー: クックブックに見るアメリカ食の謎 (単行本) 「アメリカの食にはハンバーガーとホットドッグしかない」という流布されたイメージに、真っ向から反論しているのが本書である。アメリカ先住民たちの食生活、また西部を目ざした開拓者…

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作者:李 昌鎬レビュー: イ・チャンホのハメ手対策 (碁楽選書) (単行本(ソフトカバー)) ハメ手の本を探していて、誠文堂新光社の「ハメ手の用心」を購入したものの、期待はずれで残念な内容でした。ところが、このイ・チャンホの「ハメ手対策」は、ハメ手…

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作者:麻見 和史レビュー: ヴェサリウスの柩 (単行本) 舞台はとある大学病院の解剖室、「ご遺体」と呼ばれる献体を学生が解剖実習する場面から幕を開けるミステリー。まず現在の献体の制度をあまり詳しく知らなかったので、興味深かった。「真夜中の〜」で…

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作者:メレディス・アン・ピアスレビュー: 闇の月 (創元ブックランド) (単行本) ユニコーン王子の成長と冒険物語の第二弾。自分が一族を救う「ファイア・ブリンガー」と気がついた王子、ジャンのその後の物語。ジャンは、グリフィンの襲撃で行方不明になっ…

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作者:リチャード・ペックレビュー: ミシシッピがくれたもの (創元ブックランド) (単行本) たった二百数十ページを読み進めるうちに、何度言葉を失っただろう。何度、こみ上げる涙を押さえられなかっただろう。もちろんこの作者の邦訳済みの二冊を既に読ん…

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作者:ティボール フィッシャーレビュー: コレクター蒐集 (海外文学セレクション) (単行本) 奇想天外な語り始めに読者は戸惑うかもしれない。読まれているのは実はあなただったりして。6千5百年前にメソポタミアに生まれた彼(?)は、様々な人間をコレク…

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作者:大岩 昭之レビュー: チベット寺院・建築巡礼 (単行本) 写真はかなりの高水準。きわめて網羅的に各地の建築を押さえている点でも従来のチベット関連書とは一線を画している。東チベット丹巴地方の煙突状の奇妙な建造物や河北省承徳の「普陀宗乗・大紅…

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作者:野崎 六助レビュー: イノチガケ 安吾探偵控 (創元クライム・クラブ) (単行本(ソフトカバー)) この作品は、前作が未読でも差し支えの無い作品になっている。 空襲の東京の生々しい描写の中で、殺人事件が起こっていくのを客観的な空襲状況の記録の後…

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作者:権 甲龍レビュー: 天龍図2 (碁楽選書) (単行本(ソフトカバー)) この本は質の良い問題が多く集まった本だと思う。(他の本からの借用が結構ある。)普通の詰め碁の本ではあまり見られない筋の問題も多くある。ただ、解説が少ないことと、問題の難易…

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作者:服部 まゆみレビュー: 一八八八切り裂きジャック (角川文庫) (文庫) 800ページに近い大作です。ミステリーですので、謎も面白かったですが、それ以上に、1888年のロンドンに酔いました。華麗な繁栄の下にある、貧困、グロテスク、神秘主義・・・。自…